企業の成長がどうして必要なのかということについて、個人的な考えをまとめてみました。
よくいますよね。「企業は成長し続けなければならない」とか言う人。そりゃ成長するに越したことはないと思いますが、誰にとって、どういいのか、という点においてあまり納得のいく説明を聞いたことはないような気がします。
- よりたくさんの収入が得られるようになる? あなたはそれがいいかもしれませんが、みんながそれを望んでいるわけじゃないですよね?
- 事業の継続のために必要? 別に今のサイズで今と同じようなことをやるのであれば、成長しなくても継続はできないですか?
でもこんなことを言ってみたところで「とにかく必要なんだ」的なことを言われてしまったりして、そもそもこういう話題になるときの相手が偉い人の率が高かったりするもんだから、「あー、まあそうですね」となんでもいいや的クロージングをしてしまったりするわけですな。こっちの話聞く気ないなら言うことないし、みたいな。まあこちらが説得し切るほどの材料を持っていないというのもあるのですが。
しかし、気がついたんだ。自分でも納得のいく、成長しなければいけない理由が。
経済成長
企業の成長について考える前に、もうちょっと一般的な(国とかのレベルの)経済成長を考えてみます。
普通経済が成長すると、
- 賃金が増加する
- 物価が上昇する
という緩やかなインフレが発生します。
インフレになると、物価の上昇分だけ賃金も上昇していないと実質的な生活は貧しくなります。だから、成長しないと貧しくなります。
ただ、過去と現在でやっている仕事そのものの価値が下がっていないのであれば、値上げして賃上げもして、という形で経済成長には対応できるはずですし、そもそも日本は長いことほとんどインフレになってないので、成長しなくてもトントンではやっていけるわけですね。
それでも「外部が成長する中で自分が成長しないと貧しくなる」という原則は確かにあります。
企業の内部構造の正常化
巷では「やる気のないおじさん」問題というのもよく耳にします。まあね、出世競争に破れて消化ゲーム状態でモチベーションもない、という状況は、良し悪しは置いておいて理解できなくはない。
あとはやる気があるかどうかにはかかわらず、上の年代と下の年代の実力差は逆転しているのに、給与水準は上の年代が高いままになっている、ということはある程度長く続いている会社であればどこでもあるのではないかと思います。年功序列でやっていくとどうしてもそうなるので。
さて、そこでこの状態を「正常化」しようと考えてみましょう。簡単に思いつくのは、
- やる気のないやつはクビにする
- 実力のないやつは降格する
- 空いたポジションに本来あるべき実力の人を昇格させる
みたいなところですかね。
しかし実際には労働基準法の関連でドラスティックなマイナスの人事処理は行いづらく、それに加えて人間はポジティブなことよりもネガティブなことに強く反応しやすいと言われるように、クビや降格を伴う処置は、やる側からしてもやられる側からしても本当はやりたくない、というのが本音だと思います。
だとするとミスマッチ状態にある構造はどうしたら正常化できるのでしょうか。ここでポイントになるのが「成長」です。
暗黙のマイナス成長
成長の素晴らしいところは、「現状維持」によって暗黙的なマイナス成長を表現できるところです。数値は適当ですが、仮に業績が 5% くらい伸びているとして、優秀な人は 10% 待遇を改善して、微妙な人はステイにすると、結構あっという間に待遇差は逆転するはずです。
しかもクビとか降格とかしなくても良い。「頑張ってくれればそれだけ待遇を改善する余地もあるんだけどねえ」という言い方もできるし、これでモチベーションを上げてくれれば、それはそれで良い。成長してるのだからある意味当たり前なのかもしれませんが、いいことしかないわけです。
事業の継続性
私の考えでは、ミスマッチな内部構造を放置している会社はそのうち死ぬと思うのですが、これを改善する手段は上記の通り、
- ダメなやつを切る
- 成長して、成長による果実をちゃんとしたやつだけに振る
の 2 パターン、ネガティブを振り分ける方向性とポジティブを振り分ける方向性があると思います。
でもネガティブを振り分けるのはあまりうまくいかないんじゃね、というところを踏まえると結局はポジティブを振り分けるしかなく、そのためには成長が必要ということですね。
加えてその適切な分配も必要で、せっかく成長しても一律で賃金アップ、みたいなことは節税の観点からはともかく、事業継続性の観点からは悪手とまでは言わないまでもちょっともったいない気がします。
あとこれは企業の内部構造の健全化に必要という議論なので、自営業とか従業員の非常に少ない場合であれば、うまく均衡できる点があれば成長しなくてもうまくやっていけるんだと思います。たぶん。